歯科医院のスタッフ定着率をあげる改善ポイントとは?

新たにスタッフを採用しても、なかなか定着してくれない歯科医院も多いのではないでしょうか。
スタッフの入退職が多い歯科医院では、求人や人材育成、事務手続きなどの運営コストが通常よりかさみます。

また、スタッフの入れ替わりが激しいと患者さんも落ち着かないため、同時に患者さん離れを引き起こしてしまいます。

スタッフの定着率を低いまま放置していると、今後の医院経営にも深刻なダメージを与えてしまいかねません。
そこで今回は、歯科医院にスタッフが定着しない原因と、定着するために必要な改善ポイントについて解説します。

離職するスタッフの本音

日本歯科衛生士会が平成26年に行った調査結果を例にとると、1回以上勤務先を変更した経験のある歯科衛生士は74.4パーセントで、いかに歯科業界の離職率が高いのかが窺い知れます。

しかし、今後も歯科業界で働き続けたいと考えている人は多く、9割以上の人が今後も歯科衛生士として働き続けたいと考えており、勤務形態に関わらず、現在の職業への継続意向を持っています。
この結果から、職業に対する不満は少ないけれども、現在の職場への不満を抱えていることを読み取ることができます。

スタッフの不満を解消しなければ、いつまでたっても定着率を上げることはできません。
まずは、スタッフがどのような不満を抱えて退職してしまうのか、その原因を把握することが必要です。

スタッフが退職する原因

先ほどの日本歯科衛生士会平成26年度の調査を元に、なぜスタッフが退職してしまうのかを考えてみましょう。
まず確認してほしいのが、歯科衛生士が勤務先を変更してしまう理由の割合です。

出産・育児 13.7%
結婚  12.0%
職場の人間関係 10.5%
仕事のスキルアップ 9.0%
家庭の事情 6.6%
仕事内容への不満 6.4%
給与・待遇面 5.4%

出典:歯科衛生士の勤務実態調査報告書

出産や育児、結婚を理由に転職する人が約26パーセントとなっており、4人に1人は結婚や妊娠をきっかけに、現在の職場を退職していることになります。
歯科医院は女性スタッフが多いため、労働環境の改善が必要なことが調査結果から見えてきます。

次に、スタッフが現在の職場にもっとも改善してほしいことの調査結果を確認してみましょう。

給料引き上げや昇給などの待遇改善 27.7%
専門性・資格などの評価 8.2%
職場の人間関係の改善 6.9%
業務量の軽減 6.7%
教育研修やレベルアップの機会の充実 6.3%
休暇の取得 5.3%
雇用の安定性の確保 3.9%
労働時間の短縮 3.8%
福利厚生の充実 3.7%
子育て支援の充実 2.4%
医療安全体制の充実 2.3%
多様な勤務形態や勤務時間の導入 1.5%

出典:歯科衛生士の勤務実態調査報告書

職場に対してもっとも不満に感じていることは待遇面や評価面であり、次いで人間関係となっています。
この調査結果をヒントにすれば、スタッフの定着率を上げるポイントが見えてくるのではないでしょうか。

スタッフを定着させるための改善ポイント

スタッフに長く働いてもらうためには、医院側でも努力が必要です。
上記の結果を元に、どのような改善を行うのが理想的なのか考えてみましょう。

定期的な昇給の実施

スタッフが不満を抱えて離職しないよう、定期的に待遇面を見直すことも必要です。

歯科医院のコストの中でも大きな割合を占めるのが人件費ですが、少しでも人件費を削減するために、昇給制度を導入していない医院も多いことでしょう。
しかし、一年に何度もスタッフが退職し、求人や人材育成を行うコストを考えると、昇給に占めるコストはそれほどかかりません。
何年働いても同じ給料の歯科医院と、定期的に昇給してくれる歯科医院とでは、当然ながらスタッフの定着率にも大きな差が開きます。

もし昇給が難しいようであれば、所定労働時間を見直すなどの改善を考えてみましょう。

人事評価制度の確立

少人数制の歯科医院では人事評価が院長の独断になってしまいがちで、スタッフは仕事ぶりが正当に評価されているかどうかが分かりません。

評価制度を設けることで、スタッフも平等に評価されていると安心できます。
また、正当に評価されることが分かると、スタッフのモチベーションアップにもつながります。

評価項目をスタッフに公開することで、医院がどのような人材を求めているかをスタッフに周知することもできます。
資格を取得しているスタッフや専門性の高いスタッフに対しては、手当を支給するなどの対応も効果的でしょう。

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教育制度の充実

歯科医院に勤めていれば、知識や技術を向上させたいと思っているスタッフも少なくありません。
しかし、個人の歯科医院では少人数制で運営を行わなければならないため、日々の業務に追われて教育まで手が回らないこともあります。
スキルアップができないことを不満に感じてしまうと、それがきっかけでスタッフが転職を考えてしまうようになります。

教育のために時間やコストをかけられないと思うかもしれません。
しかし、教育制度はスタッフのやる気を上げるだけでなく、スキルを習得してもらうことで医院への貢献にもつながります。

研修などの教育制度は、積極的に取り入れるようにしましょう。

人間関係の改善

歯科医院に限らず人間関係で悩みを抱え、職場を退職してしまう人は数多くいます。
人間関係の悩みは院長や上司に相談しづらい問題でもあるため、退職する本当の理由を告げないまま、医院を去ってしまうスタッフも多いことでしょう。
理由さえ分かっていればスタッフの離職を引きとめられたのに…と、悔やんだ院長も多いかもしれませんね。

スタッフが人間関係で悩んでいるかどうかを確かめるには、現在の心理状態を確認することが必要です。
スタッフの心理状態を理解するためには定期的な面談やストレスチェックテストを行い、どのようなことで問題や悩みを抱えているのかを把握しておきましょう。

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労働環境の整備

歯科医院のスタッフには女性が多いため、結婚や妊娠をきっかけに退職してしまうことも少なくありません。
できれば仕事を続けたいと思っていても、院内の労働環境や福利厚生が整っていなければ、やむなく退職するスタッフもいることでしょう。

女性スタッフが多いことを踏まえたうえで、産休・育休はもちろん、短時間労働の導入や、休暇を取得しやすい労働環境を作ることが大切です。
少人数の医院だと遅刻や早退、休みをとることに抵抗を感じてしまうスタッフが多いため、医院全体でスタッフの子育て支援を行う雰囲気作りも必要です。

キーポイントはスタッフとのコミュニケーション

院内の改善をしたからといって、すべてのスタッフが院長の思うとおりに成長してくれるとは限りません。
より良い環境を与えても、中には成長してくれないスタッフも必ず出てきます。

他の人よりも成長が見られないスタッフに対しては頭を抱えてしまうかもしれませんが、一人一人と向き合い、コミュニケーションをしっかり図ることで解決への道筋が開けることもあります。
スタッフが何に対して不満を抱いているか、仕事に対してなぜ前向きになれないか理由を探るには、やはり普段からのコミュニケーションが大切になってきます。
コミュニケーションを図ることでスタッフが抱える問題点が明確になり、やる気がないように見えたスタッフでも、見違えるほど仕事に前向きになることもあります。

定期的な面談やミーティングを行ったり、親睦会を行うなど、コミュニケーションを図れる機会を設ける努力が必要です。

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まとめ

スタッフが定着すると、それだけ質の良いサービスを患者さんに提供できるため、集客に役立ち、結果的に利益をあげることにもつながります。
また、スタッフ定着率の高い歯科医院は求職者からの評判も高く、多くの人材が集まりやすいことから、優秀な人材を確保しやすくなります。
医院にとって、長期的に働くスタッフは運営を支えてくれる重要な戦力となってくれるので、定着率を上げられるよう、積極的に院内の改善を行ってみてください。

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