【歯科衛生士の人手不足解消】求人よりも人事改革の方が効果あり

多くの歯科医院ではスタッフが不足しているといいます。
特に歯科衛生士は慢性的に人手不足です。

(出典:歯科衛生士教育に関する現状調査の結果報告

人手不足の中、たくさんの医院があらゆる媒体に求人を掲載し、専門学校へ歯科衛生士の紹介を依頼するなど絶え間ない努力をされていることと思います。

さて、求人を出してもなかなか来ない、そして現状のスタッフも辞めていってしまうといった状態はどこでもある光景となりつつあります。
今回は、歯科衛生士の人手不足問題を解消するために、求人を出すよりも長期的に効果を発揮する人事改革がオススメな理由をお伝えします。

歯科衛生士の人手不足が起こる2つの原因

歯科衛生士とは、毎年7000人近くが合格している国家資格になります。
そのため、たくさんの歯科衛生士が輩出されているはずなのに、なぜ人手不足なのだろうかと疑問に思う方も多いと感じます。

現状では、歯科医院はコンビニ並みに多く、医院の数に対して歯科衛生士の数が足りていないのです。
1人の医師に対して歯科衛生士は2名が妥当といわれていますが、現場ではスタッフを確保できず歯科衛生士1名でカツカツに運営している歯科医院が多いです。

そもそも、歯科衛生士が不足している要因は一体どういったものなのでしょうか。

ライフイベントで離職する人が多いから

歯科衛生士の多くは女性のため、結婚や育児・介護をなどのライフイベントを機に、一度現場を離れなければならないことがよくあります。
ですが、復職する頃にはペースが合わなくなっていたり、子供を抱えた状態での歯科医院の長時間労働は働きにくい環境だと感じることが多いようです。

女性が多く活躍する職場ではありますが、一度やめてしまうとなかなか現場復帰がしにくい現状があるようです。

一度退職・休職した後に再就職する人が少ないから

平成27年歯科衛生士の勤務実態調査 報告書によると、再就職に対して「戻りたくない」と考えている歯科衛生士の割合は30%に上ります。

また、非就業者に向けた「現在歯科衛生士として就業していない理由」の回答として「その他」を選んだ方の多くが、「介護支援専門員として従事している」、「歯科衛生士以外の職種に従事している」という回答をしていたそうです。

あなたの歯科医院では人手不足をどう解消していますか?

歯科衛生士が足りないとおっしゃる歯科医院の多くは、

  • 歯科衛生士の求人を多くの媒体に記載する
  • 給料アップなど歯科衛生士の待遇をよくする
  • 歯科衛生士を育成する専門学校に紹介を求める
  • 現場のスタッフに知り合いの歯科衛生士を紹介してもらう

など人手不足を解消するための施策を実施しているかと思います。

さて、人手不足を解決する方法は、上記に挙げたように新しい人を雇うことだけでしょうか。

人手不足を解消する2つの方法

  1. 足りないスタッフを追加で雇うこと
  2. 今のスタッフをこれ以上減らさないように手を打つこと

長期的な視点で考えたとき、後者の方が費用対効果がよいといえるでしょう。
もし現在のスタッフでぎりぎり運営できる状態であるならば、時間はかかりますが、2の方法をおすすめします。
現存のスタッフの離職を食い止める手立てとして、人事改革が有効です。

歯科衛生士を人手不足解消には求人よりも人事改革の方が効果あり

先ほどの平成27年歯科衛生士の勤務実態調査報告書によると、就業していない理由の中でも、ライフイベントや自身・家庭の事情を除くと、「給与・待遇の面」「職場の人間関係」「仕事内容への不満」が挙がっています。

退職する際は、「家庭の事情」といった内容を伝えて離職している方が多いと思いますが、このような本当の退職理由・不満を医院ではどこまで拾い切れているでしょうか。

「給与・ 待遇の面」「職場の人間関係」「仕事内容への不満」のような問題は、改善できるものです。
このような要因で貴重な人材が退職することを防ぐには、人事制度を見直し、きちんと制度設計することで解決できるのです。

給与・待遇面

給与・待遇面についての多くの不満は、どのような理由でその待遇になったかが見えない場合に起こります。
「社歴が短いのにAさんよりBさんが優遇されている」とか、「ミスが多い彼女の方が給料がいい」といったことです。

このような不満は、なぜこの給与待遇になったかを示せる明確な基準があれば解決できます。

人事評価制度を構築しておくことが有効です。
昇格するにはどのようなスキル・対応が必要であるかを設定しておきましょう。

明確な基準がないと院長の主観で給与が決められていると憶測を呼び、スタッフ同士が対立して退職するケースもあります。

職場の人間関係

職場の人間関係の悪化原因としては、先ほど述べた待遇面から起因するものと、いじめなどのスタッフの性格・個性によるものもあるかと思います。
もちろん「スタッフの個性による問題なんて解決できるわけがないじゃないか」とおっしゃられる方もいますが、実はこれも人事制度を見直すことで解決ができます。

採用基準を明確にすることが有効です。

スタッフが不足だからといって資格があるだけで採用するなど、人間性を見極めて採用活動を行わないとトラブルのもとになります。
どのような人がうちの医院に合うかという具体的な採用基準があれば、採用時に「合わない人材」を雇う事を避けれます。
給与や待遇を決める際にもどのような方がこの評価かといった基準を作るのですが、採用の段階でもこの基準を使用するとわかりやすいです。

仕事内容への不満

仕事内容が明確に定められていなかったり、当初聞いていた内容の範囲外の仕事までさせられてしまうことで不満が発生します。
特に歯科医院では少ないスタッフで運営しているため、それぞれの資格の範囲外の仕事までさせられてしまうと耳にします。
また、研修がないことで仕事についていけず、不満に感じる方もいます。

あらかじめ、どのような仕事をしてもらうかをスタッフのレベル別に定めておき、育成制度を作成しておくことで解消できます。

人事部を作ることをおすすめします!

5人以上の組織には人事部を作ることをおすすめしています。
とはいえ、院長がプレーヤーであり経営者でもあるという特殊性と、スタッフ側の調整業務は院長の奥様がされている医院が多く散見されるため、人事部を作るのは現実的に難しいと感じます。

そのため、人事制度についてを院長自身が見直すこと、人事制度に沿った採用・育成活動を行うこと、院長自身が人事制度を軸とした運営をすることが重要です。

また、人事制度を整備しただけでは何も変わりません。
実際にスタッフに浸透させたり、人事制度を運用することも大事です。

そのために、院内でスタッフも交えた組織に関するミーティングを定期的にすることをお勧めします。
患者さんに対してのカンファレンスを行っているところは多くあるものの、組織についてのミーティングをされていないところが多いです。
ですが、院内の環境についての情報共有はとても大事なことです。
人事部を作れないならぜひミーティングを行ってみてください。

【関連】歯科スタッフミーティングで院内が改善する5つの方法

まとめ

歯科衛生士は歯科医院にとってなくてはならないスタッフです。
人手不足の理由は医院ごとに違いはあるものの、解消するには追加でスタッフを増やす活動を積極的に行うか、これ以上スタッフが離脱しないように策を打つかの2つだと考えます。
両方行うことがベストではありますが、まだ現段階のスタッフ人数でぎりぎり回せるのであれば、求人の給与や待遇をアップするのではなく、今いるスタッフに対して満足を高め、継続的に勤務できる環境を整えることが重要です。

「ヒト」が関わることなので、「人事」関連の見直しが必要になってきます。
ぜひこの記事を参考にして今一度「人事」関連の制度設計が適切か考えてみましょう。

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