【新卒歯科衛生士】新卒採用の問題点や注意点、コミュニケーション方法とは?

新卒歯科衛生士は職場選びの際、給与や職場環境のほか、歯科医院の方針や理念への共感も重視しています。
また、新卒歯科衛生士は良い組織を作る上でも欠かせない存在です。

今回は新卒歯科衛生士の採用の問題点や募集・採用面接での注意ポイント、採用手段から採用後のコミュニケーション方法までご紹介します。

歯科衛生士の新卒採用の問題点

深刻な人手不足に陥る日本社会では、新卒の歯科衛生士に限らず、新卒採用が困難となっています。
今回は新卒歯科衛生士の採用における主な問題点をご紹介します。

ミスマッチによる早期退職

ミスマッチとは、企業と求職者の間に生じるギャップを指し、早期離職につながる大きな要因です。
新卒一括採用が一般的である日本社会独特の現象でもあり、企業が求める労働者の属性と求職者の属性が異なり、優秀な人材採用を妨げる要因として問題視されています。

歯科衛生士の新卒採用でも、募集・採用面接でのコミュニケーション不足により、早期退職につながっています。

ミスマッチは大企業で起こりやすい現象ですが、実は歯科医院のように人事部が存在しない小規模事業者に最も起こりやすいのです。
そのため、新卒の歯科衛生士を雇用する際は綿密な採用計画が必要です。

募集段階での情報伝達の不備

新卒の歯科衛生士に限らず、新入社員の早期離職につながる理由として、以下の理由が挙げられています。

  • 労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった(29.2%)
  • 人間関係がよくなかった(22.7%)
  • 仕事が自分に合わない(21.8%)

上記の理由の割合から、募集段階で提示された条件・待遇と採用後の実態がかけ離れている事業主が多いと考えられます。

この原因には、募集段階での情報伝達の不備が挙げられます。そのため、新卒の歯科衛生士を採用する際は、給与や出勤日数、雇用形態、福利厚生などの条件・待遇をしっかりと提示し、採用前と採用後のミスマッチを防がなければいけません。

歯科衛生士の常勤(正規雇用)は全体の51.8%であり、常勤・非常勤の非正規雇用が半数近く占めます。そのため、給与・待遇面での不満は上記の調査よりも大きいと考えられます。

【参考】公益社団法人 日本歯科衛生士会 平成27年3月 歯科衛生士の勤務実態調査 報告書

その他の初職離職理由は以下となります。

【初職が正社員であった離職者の初職を辞めた理由】

【参考】独立行政法人 労働政策研究・研修機構第6章 早期離職とその後の就業状況

採用後のコミュニケーション不足

女性の初職離職理由では「労働時間・休日・休暇の条件がなかった」よりも「人間関係がよくなかった」の割合が高い傾向にあります。

【初職が正社員であった離職者の初職を辞めた理由(性別別)】

【参考】独立行政法人 労働政策研究・研修機構第6章 早期離職とその後の就業状況

新卒歯科衛生士は専門知識を有していますが、実務経験が少ないため、悩みや問題を抱えがちとなります。
また、女性の割合が多い職種でもあり、事業規模の小さい歯科医院は閉じられた空間になりやすく、人間関係が悪化しやすいといえます。

良質な人間関係を築くためには綿密なコミュニケーションが不可欠であり、院長や先輩歯科衛生士が率先して、新卒歯科衛生士とコミュニケーションを図る機会と回数を増やす努力が必要です。

新卒募集・採用面接での注意ポイント

歯科衛生士の新卒採用プロセスも一般企業と同じです。
そのため、新卒募集・採用面接では、以下のポイントに注意しましょう。

人事制度や待遇の共有

公益社団法人日本歯科衛生士会が2015年に行った「歯科衛生士の勤務実態調査報告書」では、就業規則がある歯科治療所は全体の71.8%に留まり、有給休暇の有無は規模の小さい診療では71.5%にとどまっています。

また、アンケートに回答した歯科衛生士の19.7%が「福利厚生の充実」を、22.4%が「休暇の取得」を希望しており、人事制度や待遇を含む「待遇の改善」の希望は48.7%を占めています。

そのため、新卒募集や採用面接では、新卒歯科衛生士がミスマッチを起こさないように医院の正しい人事制度と待遇を共有しなければいけません。

【参考】公益社団法人 日本歯科衛生士会 平成27年3月 歯科衛生士の勤務実態調査 報告書

働くメリット・先輩歯科衛生士の声を伝達

仕事にやりがいを感じる割合が高い(80%台)歯科衛生士は、自分が希望する医院で働くメリットや実際に働く先輩歯科衛生士の声を重視する傾向が強いといえます。

そのため、募集・採用面接では自分の歯科医院で働くメリットを明確化し、応募者が「やりがいを持って、働くイメージを想像してもらう」ように工夫が必要です。
「先輩歯科衛生士を面接官として起用する」、「現場の生の声を求人サイトや医院のホームページに掲載する」などの施策があります。

価値観・考え方を重視する

就職を希望する新卒の歯科衛生士の約77.9%が歯科衛生士専門学校を卒業した人です。
つまり、ほとんどの新卒歯科衛生士には、実務に必要な知識や技術が高い水準で備わっているということです。

そのため、採用では技術的な能力やコミュニケーション能力ではなく、応募者の価値観や考え方から適性を見極め、判断すると効果的です。
採用面接では歯科医院の理念や方針を伝えた上で、医院長や既存の歯科衛生士の価値観や考え方に共感できるかを判断しましょう。

新卒歯科衛生士とのコミュニケーション方法

新卒歯科衛生士は希望や不安を持って、初めての職場に勤務します。
そのため、医院長や先輩歯科衛生士は新卒歯科衛生士の視点で、適切なコミュニケーションを取らなければいけません。

「相談できない」を前提にフォローする

歯科衛生士に限らず、多くの新卒社員は上司や先輩の忙しい状況を直接見ており、相談したくても相談できない状態に置かれてしまいます。
また、従業員数が少ない診療所では、OJTを実施する余裕も少なく、新卒の歯科衛生士が放置されることも珍しくありません。

新卒歯科衛生士が自ら相談してくると思わず、「相談できない」を前提にフォローしなければいけません。

医院の理念・方針を共有

医院の理念・方針は、歯科衛生士の「仕事へのやりがい」につながります。
そのため、採用後は繰り返して医院の理念や方針を共有します。

患者様への歯科予防処置・保健指導・診療補助などの提案や措置は、医院の理念や方針が大きな判断軸となります。
クレド(企業活動の価値観や行動規範を簡潔に表現した文言やツール)の導入や1on1ミーティングを通した理念・方針の浸透が効果的です。

医院の理念・方針は自走する組織の構築や、優秀な歯科衛生士の育成に不可欠な要素でもあります。

新卒歯科衛生士の採用方法

新卒歯科衛生士の採用方法は、主に医院ホームページ・求人サイトへの掲載、リファラル採用が挙げられます。

医院ホームページへの掲載

医院のホームページは、集客と同時に新卒採用の求人フォームとしても活用できます。

医院のホームページは職場の雰囲気や経営理念・方針を自由に掲載でき、求職中の新卒歯科衛生士に向けて、積極的な情報発信が可能です。
また、採用専用ページを作成し、実際に働く院長や先輩歯科衛生士のインタビューや募集要項、応募フォームを掲載すれば、応募数も集まりやすく、採用コストを抑えられます。

求人サイトでの掲載

専門職に特化した求人サイトへの掲載は、新卒歯科衛生士の集客に長けています。
10人以上のスタッフを抱える、比較的大きな診療所や歯科病院で新卒歯科衛生士を採用する場合は、採用コストを抑えながら、多くの求職者の応募と面接につなげられます。

また、求人サイトのルールに則って募集要項を掲載するため、入社前と入社後のミスマッチを未然に防げます。
充実した福利厚生を導入している病院や治療院は有利に働きやすいのも特徴です。

リファラル採用

リファラル採用とは、既に自社で働いている社員からの紹介・推薦で優秀な人材を採用する手法です。

新卒歯科衛生士の約77.9%が歯科衛生士専門学校を卒業するため、既に働く歯科衛生士の後輩や友人に、第二新卒を含む新卒採用を希望する人材が多いと考えられます。
自分の歯科医院に勤務する歯科衛生士の紹介・推薦であれば、同じ価値観や考え方を持っている可能性も高く、ミスマッチの防止も可能です。

また、紹介者に謝礼を支払うことで、福利厚生の拡充や採用コストの抑制にもつながります。

まとめ

新卒歯科衛生士の採用では、働くメリットや医院の理念・方針を伝え、能力よりも価値観や考え方を重視することが大切です。
また、少人数の医院ほどコミュニケーションが重要であり、新卒歯科衛生士の視点で、医院長や先輩歯科衛生士の積極的なフォローが求められます。
募集段階・採用前後のポイントを見極め、適切な情報発信と積極的なコミュニケーションを心掛けましょう。

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